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WHEN I CLOSE MY EYES,
Personal-Work, Reading

こうして目を瞑りますと、

1

こうして目を瞑りますと、
前方に、隊列を組んで通り過ぎるものがあるのです

先頭はいつもロバと決まっていて、
彼はまさに純粋そのもの、気立ての良い奴なのですが、
よく石や何かに躓くので、
それで大変に行進が遅れるわけです

列の中には一風変わった姿もございます
ある晩などは、頭の2つある魚が現れまして、
これは不吉!と目を開きますと、
案の定、船が一隻沈んだとの知らせが届くのです

もちろん、そうそう悪いことばかりではございません
修理工らしい老夫は
_どうやらそこには人間も並ぶのです_
鉄屑の機械仕掛けと、
見事なステップを踏んでおりますし、
鴨の楽隊は、時々、
ファとミの音を間違えはしますけれど、
エチオピアの美しい音楽を奏でるのです

ところが、
少しでも私に気取られている風を見てとりますと、
それは跡形もなく姿を消してしまうものですから、
我々の間にはどうにもこうにも、
一切のやり取りがないのです

いやはや、これでは仕方があるまいと、
私はしばらくの間、知らぬ存ぜぬを決め込みました
するとあちら様も油断したのでしょうか、
奇々怪々、あらゆる姿が並ぶようになったのです
見世物小屋でも覗くような心持ちで、
それはもう愉快でございました

2

ひと月余りが経った頃でしょうか、
隊列の様相に
おかしな変化が見受けられるようになったのです
_この際には目を瞑る時間も
随分と長くなっておりました_
先に申しました通り、
もとより下手物が現れることはあったのですから、
“おかしな”とは、それと異なる意味合いでございます

一番手にロバ、これは相変わらずのことですが、
その次に並ぶのは、
どうもミツバチと決まったらしいのです。
毎度刺されては事ですし、
息を殺して過ぎるのを待っているところに、
向こうから惑星がやってくる
よくよく目を凝らしますと
_当然目は瞑ったままにですよ_
そこに私が乗っているではありませんか!
堪らず、おおいと声を掛けますが、
あちら様も、おおいと返すのです

互いの干渉を許したことには驚きましたが、
そうともなれば、
後に続くところは大方想像の通りでござます
やれ太陽系云々、それ銀河系何某などと、
みるみるうちにやってきては、
皆それぞれに“惑星”、延いては“私”を内包している、
という始末なのです

一連の“宇宙的な響き”とでも申しましょうか、
さもお誂え向きな思想の並びに、
私は少なからずの失望を覚えました
それまでの密かな観察によって、
遂に真理の尻尾を掴んだと
信じて疑わなかったのですから

なんと大仰で芝居じみたことでしょう!
いっそうのこと瞼を開いてしまいますと、
この世の美醜、一切合切が映り込むのですから、
心底歓喜するのでございます

BON FESTIVAL DANCE
Personal-Work, Illustration, Reading

2017年、夏の展示会のために

Bon Festival Dance

盆踊り

私たち
手を広げ
つま先で立つ

可笑しくも
ちぐはぐで

落ちるかもしれない
燃えるかもしれない
一団の
サーカスを思わせる

A Parking Lot

駐車場

太陽に
のかれた
影が
駆け回り

次の車は
ぐるぐると
たどり着けない

どうして
一杯になるだろうか

Hotel Entrance

ホテル

ビードロが鳴いて
支配人
椅子の婦人は
キューバに向かうという

いいえ
ここがキューバなのです

発した言葉を
間もなく
太古の鯨が飲み込んだ

Ramune Soda

ラムネ

働き者が
海を揺らし
惑星は
瓶の中

突然
月が
近づいて

驚きに沸く
彗星の泡

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